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三島由紀夫 葉隠入門より  酒席の心得

日本人の酒席の乱れは国際的に有名である。体力の差もあろうが、西欧社会では紳士が酒席で乱れて醜態を演ずるということは、許すべからざることとされ、一方ではアルコール中毒患者は世間から敗残者と見なされて、酒びんを片手に持ちながら、アルコール中毒患者ばかりの集まる一角に、亡霊のように蹌踉と歩んでいる姿を見ることができる。

日本では、酒席は人間がはだかになり、弱点を露呈し、どんな恥ずかしいことも、どんなぐちめいたこともあけっぴろげに開陳して、しかもあとでは酒の席だということで許されるという不思議な仕組みができている。新宿に酒場が何軒あるか知らないが、その膨大な数の酒場ではサラリーマンたちが、今夜もまた酒を前にして女房の悪口を言い、上役の悪口を言っている。そして酒席の話題は、ことに友だちの間では、男らしくもないぐちや、だらしのない打ちあけ話や、そしてあくる朝になれば実際は忘れていないのに、お互いに忘れたという約束事の上に成り立つところの、小さな、卑しい秘密の打ちあけ場所になっている。

つまり、日本における酒席とは、実際は純然たるプライベートな場所ではないにもかかわらず、パブリックな場所で、人前でありながらプライベートであるという擬制をとるような場所なのである。人が聞いても聞かぬふりをし、耳に痛くても痛くないふりをし、酒の上ということですべてが許される。しかし『葉隠』は、あらゆる酒の席を晴れの場所、すなわち公界と呼んでいる。武士はかりにも酒のはいった席では、心を引き締めていましめなければならないと教えている。これはあたかもイギリスのゼントルマンシップと同様である。
「大酒にて後れを取りたる人数多なり。別して残念の事なり。先づ我が丈け分をよく覚え、その上は飲まぬ様にありたきなり。その内にも、時により、酔ひ過す事あり。酒座にては就中気をぬかさず、不図事出来ても間に合ふ様に了簡これあるべき事なり。又酒宴は公界ものなり。心得べき事なり。」

しかし『葉隠』がこのように言っているのは、これと反対の事例が、いま同様いかに多かったかを証明するものでしかない。

三島由紀夫

葉隠塾 塾長のコメント:
◎ 従ってこの戒めを如何に受け留めるか聞き流すか、貴方次第と言う事になるのです。


2008年4月



 
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