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『 男の矜持とダンディズム 』

これはアルパチーノ主演の映画で題名は「SCENT of a WOMAN」邦題は(夢の香り):アメリカ軍のエリート将校であった男が奔放な性格のため出世の道を閉ざされ遊びに耽る内に事故で失明して終うのです。しかし、軍人としての矜持も男としての生き方も捨て切れずいる中、感謝祭が近かづく頃想い出の地ニューヨークへの旅行を計画します。そこには嫌われ者の弟を敬遠する兄家族への訪問も含まれていました。いずれにしても本人は失明しており旅行には杖になるお伴が必要で、近くの学校に感謝祭の休暇中のアルバイトとして求人広告を出しました。そこに一人の学生が応募し、物語が始まるわけです。

気難しく我が侭な男はその青年を大いに困らせます。そうこうする内にニューヨークで男が見せた様々な姿に青年はいつしか男への好感を募らせながらも折に触れ男が見せる憂鬱な陰も見逃しませんでした。特に兄家族への訪問は男の孤独感をもろに感じさせるものでした。正に感謝祭の晩餐への招かざる客であったのです。時を同じにして青年も問題を抱えており、途方に暮れた孤独な時期でもあったのです。男はその旅を人生最期の思い出とし、その地で命を断つ積もりだったのですがそれを察知した青年は必死で男を思い留まらせます。青年も男への信頼と同情から胸に抱えた問題を打ち明けます。その問題とは学校での出来事でした。

ある晩青年が図書館のアルバイトを終え同窓の学生と表に出た時、ある事を目撃するのです。数人の学生が夜間全てが終了した学校の敷地内で何かを仕掛けていたのです。その学生達は作業を終えると一目散に消えて行きました。その仕掛けは翌朝何であったか判明するのです。それは学生達からの信望の薄い校長が自慢のジャガーで学校に乗り付け指定の場所に駐車すると同時に頭上に仕掛けられた風船が破裂し校長とジャガーの上にペンキが降りかかってきたのです。当然笑い者にされた上、車も衣服も汚された校長は悪戯の追求にかかりました。先ずは目撃者を探し犯人の割り出しです。

そこで目撃者として上がったのがその青年と同窓生でした。二人は如何に悪質な悪戯とは言え学友を売ることは潔しとしません。二人とも相談の上、口を閉ざしたのです。それを校長が咎めたのは当然のこと、二人に対する追求は想像以上に手厳しいものでした。同窓の学友は親が有力者であり学校にも関わりが深く、それに引きかえ青年は地方から奨学金により支えられ学んでいる言わば苦学生なのです。二人とも問題を抱えたまま感謝祭の休暇に入りました。片や保養地で休暇を過ごす学友と休暇をアルバイトに当てた学生です。電話で事の成り行きをお互いに連絡し合っておりましたところ、同窓生は親からの圧力に屈してしまいそうな様子。その様を見ると青年の頭に浮かぶのは休暇前の校長から提示された取引条件なのです。それと云うのは『もし、君が目撃した事実を話してくれれば私には君にして上げる事がある。君を志望の名門校に推薦する事だ。『私の推薦があれば入学は確実になる』と云うものです。学友への信義と自分の将来を決定的にする選択を強いられている訳です。青年のそのやり取りと苦悩を察した雇い主の男はそれとなく青年に取るべき道を示唆します。おかしなもので、短時間でも二人の間には信頼が芽生えていたのです。

さて、休暇も終了し学校が始まると同時に件の事件で諮問会が開かれました。目撃者と認識された青年と同窓生は大勢の教師、役員や学生の前で校長からの詰問を受けることになりました。同窓の友人は有力者である父親が同伴。青年は一人でその席に付きました。すると現れたのがニューヨークへの旅を共にした雇い主であったあの男です。校長から青年との間柄を問われた男は『青年の親は遠く離れており、最も近くに住む自分が親代わりに同席する』と申し述べ席に付きました。

校長の厳しい問いが二人を襲います。先ずは有力者を父に持つ友からはじまりました。親の顔色を伺いながらも更に言を左右に目撃の事実から逃れようとしますが、校長はそれを許しません。交換条件を与えられたにも関わらず青年に質問が及んだ際、彼も真実を述べようとはしなかったのです。その成り行きを静かに聞き入っていた男が突然発言を始めました。『この学校は何と云うところだ。これからリーダーとして国を担って行く筈の学生に友を裏切り個人の利に走らせる事がこの学校の教育なのか』と云う事を手始めに流石は元エリート将校、弁説さわやかに是非をぶつけて行くのです。学生達はその弁説に興奮し拍手を持って賛同の意を表します。結果諮問会では今回の件は不問に付すこととなり落着しました。男はもう一言『友が身を持って守ろうとしたその事実を卑怯な犯人は何と受け止めるか』と言い残しました。

裕福であろうが貧しくあろうが親が子の将来を心配し幸せを願うのは当たり前であり約束された将来を賭けて学友との信義を守る事をどう感じるでしょう。『律儀にしても程度がある』がほとんどの親の感情では無いかと思います。しかし“人としての尊厳を超える程の利益など無い”と思う生き方も有るのです。それは損になったとしても若い人達に伝えて行きたい思いです。これはアメリカの物語ですが、これこそ日本人が長く大切に守って来た真心ではないでしょうか。果たして貴方は親としてそれを子供に伝えるのでしょうか。悩ましい処です。“男の矜持とダンディズム”は将来をも賭けて止まない痩せ我慢によって支えられているのかも知れません。痩せ我慢こそ日本人の馬鹿馬鹿しい美徳なのです。

2009年9月11日


 

 
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